映画「成功に導く教育とは何か?」
都内の大学で
最も成功に近い教育方法って何だろう
と問うカリフォルニアの高校を舞台としたドキュメンタリー映画
「Most Likely to Succeed」
を鑑賞して、哲学対話をしてきました。
「従来型の点が取れる教育」VS「探究型教育」
にまつわる多事争論を、実際の公立高校の1年を追うことで明らかにしようという意欲作です。
日本の教育施策は「追いつけ追い越せ」には成功したけれど、新規事業をダイナミックに生み出すのには向いていない。ではどんな教育が望ましいのか?という国内での議論とまったく同じ議論がアメリカでも行われていて議論を呼んでいることに驚きました。
なぜなら、日本での議論は、
「このままの教育を続けていては、アメリカのGAFAMのように新たなハイテク企業や新産業を生み出すことができない!」
との問題意識から生まれているからです。
その本家本元のアメリカでも、詰め込みか探究かで議論が行われいてること、そして多くの生徒・保護者が「点数が取れるようになる詰め込み教育が安心だ」と考えていることに、椅子から転げ落ちるほど驚きました。
しかし、カリフォルニアの公立高校High Tech Highでは、世界の歴史を編年体で語っていく授業ではなく、「文明は生まれては滅ぶを繰り返してきた。そのことを理解したうえでそれを動く模型で表現せよ」とのお題を出すのです。
これに対して保護者からは
「世界の歴史も教えず工作をさせるのか? それで大学に入れるのか?」
といった声が上がります。
しかし、詰め込み教育を受けて高い点数を取った生徒たちに、2週間後同じテストをもう一度受けさせたら、落第点しか取れなかったというエビデンスが示されます。
知識は、どんどん記憶から消えていく。
それにいまは調べれば何でも分かる時代。
知識を詰め込むより、体験を通じた「消えない知識」を身につけることの方が大切なのではないか。
ギリシャ文明で何があった? なぜ滅んだ? 調べて、考えて、どう表現すれば伝わるのか? それを作るために人とどうやって話し合い、計画し、力を合わせて実行すればいいのか考える。
それこそが消えない知識の身につけ方なのではないか、と映画は締めくくります。
作文虎の穴では、子どもたちが「学ぶ」ことに喜びを見出せるように努めています。
先生が教えるのではなく、生徒が「学ぶ」環境を作る、それはサッカーコーチ時代から変わっていません。
「教えてもらって覚える=習う」のではなく「自ら知りたいと思って学ぶ」
作文虎の穴では、生徒の知りたいを大切にするために、対話を重視した授業を行なっています。