モチベーショナル・インタビューイング

作文虎の穴に通うようになると、急に元気になる生徒さんがいらっしゃいます。

もともと元気いっぱいのお子さんだと、それほど大きな変化はないように見えるのですが、以前にも増してよく喋るようになる、といったことが起きます。

実は、これ意図してやっています。

 

スポーツメンタルコーチングの大原則に、「人は本来チャレンジ好き」という考え方があります。

ですから「チャレンジをしたがらない」とか「失敗を恐れる」といった現状がある場合、

「本来の姿を発揮できない阻害要因があるはず」と考えます。

対策は、「阻害要因となっている障害を取り除く」ということになるのですが、虎の穴では敢えてそれをしません。

世の中はこの原則で動いていますので、虎の穴の対応は恐らく少数派に属すと思います。

 

ではどうするかというと、原因を探ることは一切せず、どんな状態であれば

「自分から進んで勉強するようになったり」

「勉強することが楽しくなる」のかを考えます。

阻害要因を探して取り除いていく考え方を原因論と呼ぶなら、作文虎の穴の対処法は目的論と言えるでしょう。

その時、ちょっと独特のやり方をしています。

「今週どうだった?」と生徒さんに尋ねるのです。

最初は「どうって言われても、、、」

と困っている生徒さんには、この質問が来たら「グッド&ニュー」を思い出してみよう!と考えるヒントを提供します。

「楽しかったことや初めて出来たこと」を答えるんだよと答えを具体的にしてあげることで、答えやすくなります。

どうして、こんな質問をしているかというと、「チャレンジしてみたら楽しかった」日常を思い出してもらうためなのです。

障害物を取り除くのではなく、自分の日常にあるチャレンジを楽しい記憶と結びつけていくのです。

そして、それが失敗に終わったとしても、やろうとしたこと自体を褒め、出来なかったことについては言及しません。「結果」ではなく、「意図」に注目するのです。

そして、もう一回やるとしたら、前回と違うどんな工夫をする? と違う選択肢を自分で探させます。

それをやったかどうかは問いません。チェックもしません。

やるのも自由、やらないのも自由。それは君が自分で決めていい!と伝えています。

なぜなら、自発的でない行為はやったとしても長続きしないし、サボってるやつが羨ましくなってしまうからです。掃除をサボっている人を見つけたら、「ずるーい」と感じてしまうのはこのためです。

日本では、みんなが我慢しているので、この圧力が強いのです。

僕が「日本では」というのは、大谷翔平がメジャーのグラウンドでゴミを拾った時、中継のアナウンサーは

「翔平はゴミを拾った。素晴らしい行いだ」

と褒めることはしますが、「見習いたいですね」とか「他の選手も拾うべきですね」みたいなことは一切言わなかったからです。

「大谷は、自分の信条に従って行動していて偉い」

とは言いますが、他の選手には他の選手の信条があり、皆が同じ規範に従う必要はないという考えが社会規範になっているためです。

これが、作文虎の穴が、生徒さんがやったかどうかをチェックしない理由です。

究極のところ、勉強するもしないも、本人が決めればいいと考えています。

作文虎の穴が取っている考え方は「モチベーショナル・インタビューイング」といって、こうしたアプローチの方が、本人のモチベーションを上げることにつながるというエビデンスがたくさん報告されているからです。

変わったアプローチに見えるかもしれませんが、これが「作文虎の穴」に通い始めると生徒が元気になる理由なのです。

これをいつでもできるようにするため、作文虎の穴では毎日、聴く力を高めるトレーニングや探究を続けているのです。