GDPは4位だが、日本が最下位の指標とは?
日本が世界最低の指標なんてあるわけがない。そう信じたいところだ。
なせに日本はG7(先進7カ国)の一員であり、押しも押されもせぬ先進国である。
ところが、ところがである。
スイスのビジネススクールIMDが毎年発表している「世界デジタル競争力ランキング2023」で、64ケ国中32位に転落した。
まだまだ中位じゃないか、と思うかもしれないが、この順位を導き出すための具体的調査項目の中に、世界最低順位があるのだ。
それが「国際的な経験」(世界第64位)である。調査対象64ケ国(正確には国と地域)中64位。他にも「シニアマネージャーの能力」が世界第62位で、「語学の能力」が世界第60位なのだ。
噛み砕いて言えば
「管理職が英語ができないため、国内にしか目を向けられず、世界に打って出る要件を欠くため、先進国なのにデジタル競争力が中位にとどまっている」
ということだろう。
日本の教育制度では今、英語教育は小学校から開始されている。
しかし、今シニアマネージャークラスになっている人たちは中学から英語の授業が始まり、高校3年間も英語は必修だったはずだ。そのあと大学でも4年間学んでいる。つまり大卒なら誰でも10年に及ぶ英語教育を受けているのに、「語学の能力」が60位で、「国際的な経験」が64位なのである。
我々が受けてきた英語教育は、国際的な経験を積むためには何の役にも立たなかったということである。まさに机上の学問だ。
学校英語は、大学入試を通過するための文法を学び、紙に書かれた英文を文法的に正しく解釈していく英語学だったということだ。
これを国家的損失と言わず、なんと呼べばいいのだろう。
そして、この学校英語体系の外側に、夥しい数の英語教育が存在し、どうすれば使える英語が身につけられるのかを競っている。しかもこの費用負担は個人が行っているのだ。
公教育という国益や国家の目的遂行のために国家予算という公費で設計された教育は、ビジネス社会では世界最低レベルでしか役にっておらず、話せる様になった人たちは留学だったり、英会話スクールだったり個人の努力でそれを実現しているということだ。
学校英語とは大学の選抜試験を通過するために中高6年間学ぶ極めて特殊な日本でしか役に立たない訓練だったという真の姿が見えてくる。
ヒアリング、スピーキング、リーディング、ライティングという英語の4技能をこの順番で習得できるよう、早急に英語教育を組み替えていく必要を感じるのは私だけであろうか。
ちなみに、世界デジタル競争力第1位はアメリカで、2位がオランダ、3位がシンガポールとなっている。
アジア各国の順位を見ておくと、韓国が第6位、台湾が第9位、香港が第10位となっている。これをみれば、この競争力は日本の経済力の長期低落が何に由来しているかを明らかに指し示しているように見えるのだが。