脱受験英語の学校は何を学んでいるのか?

日本の学校で教えられている英語が、受験に受かるための英語で、実際のコミュニケーション力に結びついていないことに危機感を覚えた教育者がいました。

このままでは、いかにグローバル化が進もうと、日本人は世界の課題解決に寄与できなくなってしまうのではないかと考えました。
元々英語教師であった校長先生は、自校の英語教育改革に乗り出します。
大阪府にある私立の中高一貫校です。

採用したは、Cambridgeの英語カリキュラム。
これは、知識(文法、語彙力、表現、音声等)と4技能(読む、書く、話す、聞く)のすべてをバランスよくカバーしつつ、コミュニケーションに重点を置いています。
日本の英語教育とは真逆で、大量のコンテクストの中に身を置いて英語に浸るうちに、次第に文法も習得していくというもの。
まさに子どもたちが母国語を習得していく過程と同じように構成されているそうです。

学校の先生からは、これまで通り文法や単語を学ぶことをせずに、大学入試を乗り切れるのかという意見が出ます。
しかし、英語ネイティブの国の国語カリキュラムで英語が身につかないと考える根拠は何なのでしょうか?

語学といえば文法と単語。そういう刷り込みができているだけなのではないでしょうか。

では、実際にどんなやり方がとられているのでしょう?

中学1年生の授業。
授業のはじめに行われる、5分間単語バトル。
5分間でどれだけの単語を引けるかゲーム感覚で取り組みます。
生徒たちは黙々と辞書を引き、調べた単語にマーカーを引きながら、単語リストに調べた意味を書き写していきます。
紙の辞書を引くことで単語の意味だけでなく用例なども覚えていくといいます。
でもこれは5分だけです。

次は多読。
まずは、英語圏の幼児が手に取るような絵本のようなものから始め、徐々にレベルを上げていきます。すると半年ほどで大人が読むような文献を読めるようになるそうです。

驚いたことに、多読は日本語の本へと波及し、日本語の本の読書量も増えていくそうです。

好奇心や探究心に火をつけること。
従来の、単語を暗記して、文法を知って、英文に応用して和訳していくというやり方を取らずに、英語力アップに成功しているそうです。

示唆に富む挑戦と言えるのではないでしょうか。